加賀日帰りのおすすめ観光モデルコースを紹介

今回ご紹介する日帰りモデルコースは、加賀ならではの「文化・自然・温泉」を一日で満喫できる贅沢なプラン。午前は北大路魯山人が滞在した「魯山人寓居跡 いろは草庵」で芸術と静寂に浸り、午後は「那谷寺」で歴史と信仰が息づく壮大な景観を散策。夕方には北前船主の屋敷が並ぶ「加賀橋立」で港町の趣を感じ、夜は「山代温泉 古総湯」で癒しの湯に包まれます。
移動範囲もコンパクトで、車やレンタカーなら効率よく巡ることができ、グルメや温泉街の散策も楽しめるのが魅力。芸術と伝統が共存する加賀ならではの奥深い世界を、日帰りでもたっぷり味わえるコースです。

加賀観光日帰りモデルコース

午前：魯山人寓居跡いろは草庵で芸術と歴史に触れる

出典；PIXTA

日帰りで巡る加賀の旅は、まず「魯山人寓居跡 いろは草庵」からスタート。ここは金沢の文人・細野燕台の食客として滞在した北大路魯山人が、書や陶芸の才能を磨いた場所として知られています。大正4年から翌年春までの約半年間、魯山人は山代温泉に逗留し、書や彫刻、器づくりに没頭。その息づかいが今も残る草庵では、当時の仕事場や書斎、囲炉裏の間がそのままの姿で公開されており、彼の創作への情熱を感じることができます。
また、土蔵を改装した展示室には魯山人ゆかりの作品が並び、陶芸や書道に関心がある人には特におすすめ。庭の緑と静寂に包まれた空間は、まるで時が止まったかのような落ち着きがあります。芸術と文化が息づくこの場所で、加賀の知的な魅力を堪能しながら、旅の始まりをゆったりと過ごしましょう。

午後：那谷寺と九谷焼美術館で加賀の文化と美を巡る

出典；PIXTA

午前の芸術散策を終えたら、午後は加賀の象徴的な名所「那谷寺」へ。717年に泰澄大師によって開創された真言宗の古刹で、白山信仰の聖地として知られています。奇岩と苔むす岩肌が織りなす「奇岩遊仙境」は、まるで水墨画のような美しさ。春は桜、秋は紅葉、冬は雪景色と、四季それぞれに異なる表情を見せる風景は圧巻です。国の重要文化財に指定された本堂や三重塔、書院、庭園など見どころが多く、歴史と自然の調和を肌で感じられる場所です。
その後は「石川県九谷焼美術館」へ移動し、加賀の誇る伝統工芸に触れましょう。江戸時代から360年以上の歴史を持つ九谷焼の名品が展示され、色絵金襴や赤絵の間など、空間ごとに異なる世界観を楽しめます。杜親水公園と一体化した庭園を眺めながら、加賀の美意識と職人技に心奪われるひとときを過ごしてみてください。

夕方：加賀橋立の北前船主集落で歴史の風を感じる

出典：加賀温泉郷

午後の観光を終えたら、夕方は日本海沿いの「加賀橋立 北前船主集落」へ。ここは江戸時代から明治時代にかけて北前船で栄えた港町で、往時の繁栄を今に伝える貴重な歴史地区です。通り沿いには、格子戸や土蔵造りの立派な屋敷が並び、かつての船主たちの豪壮な暮らしぶりを感じることができます。明治5年（1872年）の大火で一度焼失したものの、すぐに再建され、今も重厚な木造家屋が連なる姿はまるで時代絵巻のよう。
夕暮れ時には、瓦屋根が西日を受けて美しく輝き、港町ならではの情緒あふれる光景が広がります。少し足を延ばせば、ラムサール条約登録地の「片野鴨池」も近く、冬季には数千羽もの水鳥が飛来する姿を観察できます。自然と歴史が交わる加賀の原風景をゆっくりと歩けば、静かに流れる時間とともに心が満たされていくでしょう。

夜：山代温泉「古総湯」で旅の疲れを癒す至福のひととき

出典；PIXTA

加賀観光の締めくくりは、山代温泉のシンボル「古総湯」へ。明治時代の共同浴場を復元したこの施設は、外観のこげ茶色の木壁と二階の窓が印象的で、どこか懐かしくも温かみのある佇まいが魅力です。館内には、当時の趣を忠実に再現した美しいステンドグラスが輝き、湯面に映る光が幻想的な雰囲気を演出。壁の拭き漆や九谷焼の絵タイルが彩りを添え、まるで明治の湯治場にタイムスリップしたかのような気分を味わえます。
湯船は源泉かけ流しの天然温泉で、体の芯から温まるやわらかな湯ざわりが特徴。お湯に浸かれば、歩き疲れた体がすっと軽くなり、心もほぐれていきます。館内にはカランやシャワーがなく、桶で湯を汲んで使う昔ながらの入浴スタイルも体験のひとつ。
湯上がりには温泉街をそぞろ歩きし、夜風にあたりながら加賀の夜情を感じるのもおすすめです。旅の終わりに、伝統と癒しが溶け合う極上の時間を過ごしましょう。

日帰りで加賀観光を満喫しよう！

芸術と温泉のまち・加賀は、日帰りでも深く心に残る体験ができる魅力的なエリアです。北大路魯山人が創作に没頭した「いろは草庵」や、四季折々に表情を変える「那谷寺」、そして北前船で栄えた歴史ある「加賀橋立」。それぞれの地には、時を超えて受け継がれてきた人々の想いや文化が息づいています。
締めくくりには、山代温泉「古総湯」で旅の疲れを癒し、湯けむりに包まれながら明治の情緒に浸るひとときを。ゆったりと流れる時間の中で、心と体がじんわりとほどけていく感覚を味わえるはずです。
次はぜひ、宿泊して温泉街の夜散歩や九谷焼体験、加賀の旬グルメも堪能してみてください。何度訪れても新しい発見に出会える、それが加賀の旅の魅力です。