バルンバルンの森は、
夫婦で少しずつ手を入れながら育ててきた、
ものがたりのある小さな森です。
泊まる、歩く、眺める、味わう。
森の中にちりばめられた風景を、
ひとつずつ見つけてもらえたらうれしい。
そんな気持ちで、
私たちはこの森をつくり続けています。
前の記事では、
私たち夫婦がこの森と出逢い、
荒れ果てていた小さな町営キャンプ場を、
少しずつ整えてきたことを書きました。
今回は、
これからのバルンバルンの森が、
どんな場所でありたいのか。
そして、
私たちがこの森で何を届けていきたいのかを、
少し言葉にしてみようと思います。
バルンバルンの森は、キャンプ場です。
テントサイトがあり、
森の小屋があり、
日帰りで過ごせる場所があり、
カフェもあります。
けれど、私たちが大切にしたいのは、
ただ「泊まる」「遊ぶ」「食べる」だけではありません。
森に入った瞬間、
少し空気が変わるようなこと。
木々の間を歩いていると、
ふと目に入る小さな景色に、
思わずにこっとしてしまうこと。
ツリーハウスを見上げたり、
読書室で静かに本を開いたり、
カフェの窓から森を眺めたり。
そういう何気ない時間の中に、
この森らしさがあると思っています。
便利さや豪華さではなく、
心がふっとほどけるような時間。
帰り道や、家に帰ったあとの食卓で、
「たのしかったね」
と話したくなるような余韻。
私たちは、そんな森を育てていきたいです。
私たちはこの森に、
そっと溶け込むようなものを、
少しずつつくってきました。
森の中を歩いているうちに、
「あ、こんなところに」
と見つけてもらえるようなもの。
鳥の巣箱。
ちいさな看板。
古いものを生かした空間。
手づくりの建物。
木々の間から見えるツリーハウス。
本を読みたくなる小さな部屋。
ひとつひとつは、
とても小さなものかもしれません。
けれど、それらが森の中に点在していることで、
歩く時間そのものが、
少しだけ特別なものになります。
私たちは、それを
「森の風景」
として育てていきたいと思っています。
見せるために置くというより、
森の時間の中に、そっとなじむように。
気づいた人が、
宝ものを見つけたような気持ちになれるように。
そんな風景を、
これからも少しずつ増やしていきたいです。
バルンバルンの森は、
私たち夫婦が、時間をかけて育ててきた場所です。
夫のかずのりは、
ものづくりやリノベーションが得意です。
私は、
空間を整えたり、飾ったり、
「こんな景色があったら楽しいかも」
と考えることが好きです。
ふたりで話しながら、
思いついたことを少しずつ形にしてきました。
最初から完成図があったわけではありません。
森を歩きながら、
ここに何があったら楽しいかなと考える。
季節の変化を見ながら、
この場所にはどんな時間が似合うかなと考える。
お客さまの笑顔を見て、
また次の景色を思い描く。
そんなふうに、
少しずつ積み重ねてきました。
だからこの森には、
きれいに整えただけでは生まれない、
時間の重なりがあると思っています。
手を入れた場所。
失敗したこと。
やり直したこと。
思いがけず愛されるようになった場所。
そのひとつひとつが、
この森のものがたりになっています。
「絵本のような森」と聞くと、
子ども向けの場所のように感じる方もいるかもしれません。
もちろん、子どもたちが楽しんでくれることは、
とてもうれしいことです。
けれど、私たちが届けたいのは、
子ども向けのかわいらしさだけではありません。
大人になっても、
かわいいものを見つけてうれしくなる気持ち。
ふとした景色に心が動くこと。
忙しい日々の中で、
少しだけ深呼吸できる時間。
「こんな場所があるんだ」
と、感性がふわっと開くような瞬間。
そういうものを、
大人の方にも味わってもらえたらと思っています。
キャンプが得意な方だけでなく、
カフェが好きな方。
本が好きな方。
空間づくりが好きな方。
かわいいものや、ものがたりのある場所が好きな方。
そんな方にも、
この森をゆっくりめぐってもらえたらうれしいです。
最近、私たちは
バルンバルンの森を
「森の美術館」のように育てていけたら、
と考えるようになりました。
といっても、
静かに作品を並べる美術館ではありません。
森そのものを歩きながら、
風景を見つけていくような場所。
ツリーハウスも、
読書室も、
カフェも、
小さな看板や飾りも、
季節ごとに変わる光や緑も。
そのひとつひとつが、
森の中にある展示のように感じられたらいいなと思っています。
決まった順路があるわけではありません。
好きなところで立ち止まり、
好きな景色を見つけて、
好きな時間を過ごす。
絵本を読むように、
ページをめくるように、
森をめぐる。
そんな体験を、
バルンバルンの森らしく届けていきたいです。
私たちがいちばん願っているのは、
訪れた方が、
しあわせな気持ちで帰ってくださることです。
大きな感動でなくてもいいのです。
森の中で、少し気持ちが軽くなった。
かわいいものを見つけて、うれしくなった。
カフェでゆっくりできた。
ツリーハウスを見上げて、思わず笑顔になった。
帰ってからも、誰かに話したくなった。
そんな小さなよろこびが、
一日の中に残ってくれたら。
そして、家に帰ったあとの食卓で、
「たのしかったね」
という言葉が生まれたら。
それは、私たちにとって
とてもしあわせなことです。
バルンバルンの森は、
まだ完成していません。
これからも、
季節とともに、
出逢いとともに、
私たち夫婦の気持ちとともに、
少しずつ変わっていくと思います。
大きく広げることよりも、
この森らしさを大切にしながら、
ひとつずつ丁寧に育てていきたい。
訪れる人が、
森の中で自分だけの風景を見つけられるように。
子どもも大人も、
キャンプが好きな人も、
カフェや本や空間が好きな人も、
それぞれの楽しみ方で過ごせるように。
私たちはこれからも、
夫婦でこの森に手を入れながら、
ものがたりのある風景を育てていきます。
絵本を読むように、森をめぐる。
そんな時間を、
バルンバルンの森で過ごしてもらえたらうれしいです。