2024/09/10
バルンバルンの森を運営している、
たしろかずのり、じゅんこと申します。
私たち夫婦は、2002年からこの森のキャンプ場を切り盛りしています。
とはいえ、もともとアウトドアに詳しかったわけではありません。
むしろ、今でもどちらかといえばインドア派です。
それでもこの仕事を続けてこられたのは、
キャンプそのものというよりも、
この「場所」が好きだったからだと思います。
まずは、私たちが出逢い、
少しずつ育ててきた森のことをお話しさせてください。
私たち夫婦がこの森と出逢ったのは、1999年のことでした。
ある日、知らないおじさんから
「キャンプ場をやってみらんかい」
と声をかけられたことが、すべての始まりです。
案内されて訪れた場所は、
廃園寸前の小さな町営キャンプ場でした。
施設は荒れ果て、
人の手が入らなくなった時間が、あちこちに残っていました。
けれど、その景色とは対照的に、
森には満開の桜が咲いていました。
荒れた施設の中で、
桜だけがとても鮮やかで、
風が気持ちよくて、
私たちはその場所にひとめ惚れしてしまいました。
そのとき思い描いたのは、
大きな事業計画というよりも、
もっとシンプルな気持ちでした。
私たち夫婦と、
当時3歳の息子、2歳の娘と一緒に、
ここで楽しい時間を過ごせたらいいな。
夫婦で何かができたらいいな。
そんな小さなワクワクから、
「自分たちの居場所をつくりたい」
という気持ちが少しずつふくらんでいきました。
最初はアルバイトから
キャンプ場の運営をさせてほしいと、すぐに町役場へ行きました。
お願いをしてみたものの、「赤字続きの施設だし、若い人たちに入ってもらうのは将来の芽を摘むことになるから」と優しく断られました。
そんなことも覚悟の上だったので、何度も通って計画書を出し続けました。
熱意が伝わったのか、根負けしたのか、
職員さんから「アルバイトからやってみる?」と
OKをもらえたときは、本当にうれしかったです。
キャンプ場の運営をさせてほしいと、
私たちはすぐに町役場へ行きました。
けれど、最初はやんわりと断られました。
「赤字続きの施設だし、
若い人たちに入ってもらうのは、
将来の芽を摘むことになるかもしれない」
職員さんは、そう言ってくださいました。
きっと、私たちのことを思っての言葉だったのだと思います。
それでも、こちらも覚悟の上でした。
何度も役場へ通い、計画書を出し続けました。
熱意が伝わったのか、
それとも根負けしてくださったのか。
ある日、職員さんから
「アルバイトからやってみる?」
と声をかけてもらいました。
あのときは、本当にうれしかったです。
森が職場になるまでに、3年が過ぎていました。
けれど、それは夢が叶った瞬間ではなく、
ようやくスタート地点に立てただけでした。
実際に働きはじめると、
職員さんの言葉どおり、なかなか大変な日々でした。
たまっていたゴミを片付けたり、
古くなった看板を掛け替えたり、
壊れたところを直したり。
やるべきことは、山のようにありました。
お客さんが来ない日でも、
施設の修繕や維持にはお金がかかります。
足りない分を、
自分たちの財布から持ち出して補うことも、
一度や二度ではありませんでした。
お腹に3人目の子どもがいたときも、
臨月を迎えるころまで雑巾がけをしていました。
夫は夫で、
昼間は林業の仕事をし、
帰宅後にキャンプ場の仕事をしていました。
金銭面でも、決して楽ではありませんでした。
当時の時給は700円。
夫婦ふたり分ではなく、1人分です。
しかも、夏季だけの待遇でした。
食べていくのもやっとな時期でした。
それでも不思議と、
「つらかった」という記憶だけではありません。
大好きな場所にいられること。
少しずつ森が整っていくこと。
自分たちの手で、場所が変わっていくこと。
そのひとつひとつが、
私たちにとってはうれしいことでした。
もちろん、今振り返ると、
同じことをもう一度やるのは
なかなか難しいかもしれません。
若さと勢いと、
この森が好きだという気持ちに、
ずいぶん助けられていたのだと思います。
アルバイトから始めて4年後、
正式に町から委託を受けて、
キャンプ場を運営できるようになりました。
ようやく、自分たちの思いを少しずつ形にできるようになっていきました。
自主運営が軌道に乗るにつれて、
この森を訪れた人が、
思わずにこっとしてしまうような場所にしたい、
という気持ちはどんどん強くなっていきました。
ただ泊まるだけではなく、
森の中を歩いていると、
かわいいものや、ちいさな発見に出逢える。
宝ものを見つけたような気持ちになれる。
家に帰ってからも、
「たのしかったね」
と食卓で話したくなるような時間が残る。
そんな森にしていきたいと思うようになりました。
そこからは、
キャンバスにスケッチを重ねるように、
私たちの森づくりが本格的に始まりました。
夫のかずのりは、ものづくりが好きで、
アイデアを形にするのが得意です。
私は、空間を整えたり、
飾ったり、
「こんな景色があったら楽しいかも」
と想像することが好きです。
ふたりで話しながら、
思いついたことを少しずつ形にしていきました。
石窯をつくったり、
鳥のさえずりが聞こえるように巣箱をあちこちに設置したり。
そして、ツリーハウスもつくりました。
2棟のツリーハウスができたのは、2008年のことです。
つくり始めると、つい夢中になってしまい、
最初の見積もりより予算がかかることもありました。
お金を度外視しているわけではありません。
けれど、
私たち自身が「素敵だな」と思えること。
そして、訪れた人にも楽しんでいただけること。
その両方を大切にしながら、
この森を少しずつ育ててきました。
気づけば、夫婦でこの森に携わって20年以上が経ちました。
頭を抱えるようなことも、
思いがけないピンチも、
数えきれないほどありました。
それでも私たちは、
そのたびに話し合い、
手を動かし、
ときには面白がりながら、
なんとか乗り越えてきたように思います。
バルンバルンの森は、
最初から完成された場所ではありません。
荒れ果てた小さなキャンプ場に出逢い、
少しずつ手を入れ、
時間をかけて、愛情をかけて、
夫婦で育ててきた森です。
だからこそ、
ただ便利で整った施設というよりも、
ここにしかない空気や、
ここにしかない景色が生まれてきたのだと思います。
私たちが目指しているのは、
ただキャンプをする場所ではなく、
森の中でちいさな発見をしたり、
ふっと心がゆるんだり、
しあわせな気持ちを持ち帰ってもらえる場所です。
この森で過ごす時間が、
誰かの一日の中に、
やさしく残ってくれたらうれしいです。
まだまだ、この森を楽しく続けていきたいと思っています。
私たち夫婦が
「森がこうなっていったら面白いなあ」
と思うことを、これからもひとつずつ形にしていきたいです。
そして、その過程も含めて、
みなさんに一緒に面白がってもらえたらうれしいです。
バルンバルンの森は、
完成を目指すというよりも、
季節とともに、
出逢いとともに、
少しずつ育っていく場所です。
これまで夫婦ふたりで育ててきた森に、
新しい仲間や、
応援してくださる方々が加わることで、
きっとまた違う景色が見えてくるのではないかと思っています。
荒れ果てた森に出逢ったあの日から、
私たちの暮らしと仕事は、
この森とともにありました。
これからも、
訪れてくださる方が、
思わずにこっとしてしまうような森を。
宝ものを見つけたような気持ちになれる森を。
そして、帰り道や帰ったあとの食卓で、
「たのしかったね」
と話したくなるような時間を。
そんな風景を、
これからも夫婦で育てていきたいと思います。
私たち夫婦のことも、
この森の歩みも、
一緒に面白がってもらえたらうれしいです。
この森は、まだ完成していません。
これからも夫婦で少しずつ手を入れながら、
訪れた人が思わずにこっとするような風景を
育てていきたいと思っています。
バルンバルンの森がこれから目指していることを、
ブログに綴りました。
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